2021/01/11 00:00
最近では発掘される宝石の種類が増え、我々業界人もその知識のアップデートに四苦八苦。また、ネットでは色々な説明があり何が正しい知識なのかを判断することも難しかったり・・・
ここでは、JJA((社)日本ジュエリー協会)監修のジュエリー用語辞典に基づき宝石の説明をしていきます。皆様の宝石の理解にちょっとでもお役に立てれば幸いです(๑•ᴗ•๑)
* 宝石名、アイウエオ順です
● アメトリン
アメシストの紫色と、シトリンの黄色を併せ持つバイカラークオーツ
● エメラルド
緑色、透明のベリルの一種。多彩な色合いを有する鉱石で、海水青色/アクアマリン、ピンク/モルガナイト、黄緑色/ヘリオドール、黄金色/ゴールデンベリル、濃いピンク/ペツォッタイトなど、色によって宝石の呼び名が変わります。エメラルドの鮮緑色はクロム着色に起因。産地が多く、古代より愛されてきた緑色を代表する宝石。内部インクルージョンが多く、一般的にオイル含侵がされています
● オパール
無色、白色、黄色、橙色、赤色、青色、緑色などの透明、不透明でガラス光沢、樹脂光沢の石。遊色効果を持つプレシャス・オパールと、遊色効果はないが美しピンクやブルーのコモン・オパールに大別されます。
天然のオパール層は薄く、宝石加工に耐えうるものは稀少なため、人工的に上下2種の素材を貼り合わせたダブレット(例:透明度の良いオパール+黒色ガラス)、3種の素材を貼り合わせたトリプレット(乳白色ガラス+遊色オパール+黒色ガラス)があります
● カーネリアン
赤色系で無地、半透明のカルセドニーのこと。色は加熱または着色による場合もあり、ツタンカーメンの遺跡中から加熱を経たカーネリアンが発見されています
● カメオ
貝殻や宝石に人物や風景が浮き彫りにされた工芸品のこと。置き物、家具調度品、装飾品などがあり、素材により区分されます
・シェルカメオ
貝殻を用いたカメオのことで、貝の白い部分が浮き彫りの絵柄になり、褐色または黒色やピンク層がベースとなるものが多い。貝の種類としては、カリブ海で採れる、チョコレート色のベースに白のコントラストが美しいトゥカムリ貝(サードオニクス)が高級品とされる。イタリアのトーレ・デル・グレコの特産品
・メノウカメオ
二色二層または多層のめのうを用いたカメオのこと。
● クリソコーラ
青、青緑色の半透明のガラス光沢、蝋光沢の宝石。石英と混在した状態で産出され、石英分の多いものはクリソコーラ・クォーツ、クリソコーラ・カルセドニーと呼ばれ、透明度により呼び分けられます。イスラエル産のものは「エイラト・ストーン」「ソロモン・ストーン」の名称で、なんと、ソロモン時代(B.C.1035-B.C.925頃)から知られていたとか・・・!
● 琥珀
古代の松柏類の植物樹脂が数千万年以上を経て化石化したもの。黄色、褐色、帯白黄色、など250色以上とあると言われている。昆虫や植物片が混入していることがあります
● 珊瑚
深海中のサンゴ虫が原木本体に収集され徐々に樹木形に成長したもので、サンゴ礁を作るサンゴ虫とは種類が異なります。
ベニサンゴ・アカサンゴ・モモイロサンゴ・シロサンゴなどの種類があり、半透明ないし不透明で、磨くと柔らかな光沢を示します。パールと違い、汗などで光沢がなくなっても再度磨くと再び光沢が出ます。古い頂きものだし、、、と諦めずに磨き直し&リフォームで新品同様の美しさを手に入れたケースもしばしば!
・枝珊瑚
言葉の通り樹枝状の珊瑚のこと。また、宝石珊瑚が、サンゴ礁などの類似さんごとは骨格が異なることの意味で用いることもある
・エンジェルスキン/本ぼけさんご
桃色さんごに属し、原木全体がほのかな均一なピンク色で、非常に優しい色合いと光沢はさんごの中の最高品とも言われます。ヨーロッパではその色調を天使に例え「エンジェルスキン」と呼び、特に好まれています
・モモイロサンゴ
日本近海の海底300-500mの広い範囲に生息する珊瑚で、ほのかなピンク色、オレンジ色
● 真珠
▶ 種類
・アコヤ真珠
かつては アコヤ養殖真珠 は100%日本産だったので「和珠」と呼ばれてたが、最近では外国でもアコヤ真珠が生産されるようになり、母貝名から「アコヤ真珠」と呼ばれるようになりました。アコヤ貝はインド~西太平洋に広く分布するベニコチョウガイの日本名で、大きさは約10cmと他の養殖母貝と比べると小振り。とはいえ、きめと照りは数ある真珠の中でもバツグン!
・ケシ
海水産無核真珠、つまり、人間が人為的に入れた核によって出来上がった真珠ではなく、貝の中に砂などの異物が入り、貝が自分の体を守るために真珠層を巻いたことで出来上がった真珠のこと。天然か養殖か明確でない場合が多いので、その区別はしないのが一般的です。
芥子の実に似ていることに由来し、かつては無核の小さなパールだけをケシパールと呼んでいましたが、現在は核の入っていないパールを総称してケシパールと呼ぶようになっています。世界の宝飾業界でも ”KESHI” の呼称が定着していて、やはりパールは日本の十八番!
・タヒチパール
黒蝶貝を母貝とする養殖真珠。黒蝶貝真珠のうち全生産量の90%以上がタヒチで産出されるので代名詞的にタヒチパールと呼ばれる。黒蝶貝自体は赤道を中心に温かい海域に生息し、多くの変種があり黒蝶貝の仲間はペルシャ湾、紅海、西インド洋、沖縄、奄美大島、台湾、ボリネシア、カリフォルニア湾、パマナ湾と世界中に分布している
・淡水真珠
日本、中国、アメリカ、スコットランド、ドイツなどの河川、湖沼に生息する二枚貝から産出される真珠。養殖真珠は母貝名を付けることが原則になっていますが、淡水真珠は母貝の特定が困難な場合が多いため母貝名はつけず淡水真珠と総称されます
・南洋真珠
白蝶貝養殖真珠。白蝶貝は、奄美大島以南の赤道を中心に、インド洋~西南太平洋に生息する大型二枚貝。貝殻真珠層縁が銀白色のものをシルバーリップ、黄色のものをゴールドリップと呼び、真珠養殖に用いられる貝の中で最大サイズ
・マベ
熱帯海域に分布する20-25cmの大型の二枚貝。深い海域に生息するため核を球体に包み込みゆとりがなく、そのため核を貝殻の内側に接着して養殖します。接着面をくりぬくようにして真珠に加工するため、半円形の貼り合わせの真珠となります
▶ 形状
・バロック
変形の度合いの強い真珠。真珠層の厚さや形の面白さから細工品に使われることが多い
● トルマリン
緑、ピンク、赤、赤紫、青、黄、橙などあらゆる色があり、透明から不透明でガラス光沢をもつ宝石。赤色はルベライト、青色はインディゴと呼ばれ珍重されるが、中でも、クロムと銅の含有により蛍光性のあるパライバトルマリンは別格に稀少石が高く近年値段が高騰する一方です
●フルオライト
無色、紫、青、緑、橙、ピンク、などの色があり、透明、半透明でガラス光沢を有する宝石。劈開性が強いためカボションカット、ビーズ(丸珠)にされることが多い。蛍光性が強く、和名は蛍石
● ブルートパーズ
無色、淡青色、青色、淡緑青色、黄色、褐色などの透明でガラス光沢をもつ宝石。ブルートパーズや緑色石のほとんどは放射線処理がされています。語源はサンスクリット語で fire を意味する tapaz
● ペリドット
黄緑色の透明でガラス光沢の宝石です。光の屈折率が高く夜の照明でも色を放つために「イブニングエメラルド」とも言われます
● 瑪瑙(めのう)
アゲートの和名。仏典の七宝の一つで古代より珍重されている。結晶の隙間に他の成分が層をなし同心円状の縞模様に見えるものや、鉄の酸化物と水酸化物で風景画のようにみえるものもある
● ラピスラズリ/瑠璃
ラズライトを主に、アウィン、ソーダライト、ノーゼライトなどの複数の鉱物が固まって一つの鉱物となる固溶体で、紫、紺青色の不透明の石。パイライトによる金色斑の点在は珍重される一方、白い斑のカルサイトは染色されることがあります。仏典の七宝の一つで古くから宝石として珍重されています
● ラリマー(ラリマール)
青色、灰色、無色、白色の半透明、不透明で、ガラス光沢ではなく絹色光沢の宝石・ペクトライトのうち、特にブルーのものを、カリブ海をイメージしてラリマー(ラリマール)と命名されました。ドミニカ産
● ルチル・クォーツ(ルチレーテッド・クォーツ)
細長く棒のように見える針状の内包物が肉眼で確認できる水晶。水晶部分の透明度が高く、針状の内包物が一定方向に入っているものが価値が高いとされます