2021/02/11 00:00

宝石をイラストで描いてくださいと言ったら、台形と逆三角形を組み合わせた形を描く方が多いと思います。これは、ダイヤモンドを最も輝かせると言われる「ラウンドブリリアントカット」を横から見た絵ですね。
でも、宝石って、多種多様に色々な形があって!社内で話をしていても、石の種類や色の好みが先に出がちではありますが、形についてもみんなしっかり好みがあり、仕入の際についうっかり、私この形好きじゃないもん。なんて私情が出ちゃったり(笑)
リフォームの際にも、形の特徴を理解していると「できるデザイン」「できないデザイン」が判断しやすいですよ。

では、さっそく説明に入りましょう~♪
まず、カットの種類として、ファセットカット・カボションカットがあります。さらに、ファセットカットについては、正面(真上)から見た形によって種類が分けられています。

【1】カットの種類

● ファセットカット
「宝石」と聞いて多くの方か思い浮かべるであろうキラキラ反射するのカットの総称です。
ファセット(facet)とは英語で切子面を意味し、宝石の表面に角度の異なる多数のファセットを持たせることで、光を屈折させ内部から輝いているように見せます
○ バフトップ
ガードル(横から見た際の上部へのせり出しと下部との境目。ファセットカットの最外周部)より上のトップを滑らかに研磨したカット。ガードルより下はファセットカットゆえに、正面から見ると研磨の艶やかさの中にファセットカットの反射が見える独特のカットです。上から見るとカボションカットの印象に近いですが、リフォームなどを検討する際は、ファセットカットと同じ分類と考えればほど間違いありません

● カボションカット
頂上はつるんとしたドーム型で、底面は平らになっており、断面がかまぼこ状のカットです。ファセットカットと異なり宝石の表面に切子面を作らないので、光の反射ではなく宝石そのものの光沢や文様が活かされるため、スター効果やキャッツアイ効果などはカボションカットで見られます

● ブリオレットカット
カットの種類としてはファセットカットに分類されますが、他のファセットカットとは異なり球体です。
雫型の宝石を数多くの小さなファセットで囲うよう研磨された球体で、球体の360度全方位にカットが施されているため、ちょっとした揺れでもキラキラと輝くのが特長です。球体に仕上げるためにラウンドブリリアントカットと比較すると何倍ものカラット数(重量)を必要とするためとても稀少で高価なものになります

リフォームを検討する際は、この3つの分類で同じカットに属するものであれば、大きさが異なっても製作の融通が利きます。逆に、ファセットカット用のデザインにカボションカットの宝石を留めようとすると、底面の構造が異なるので大きく作り替えをしなければなりません。

【2】正面(真上)からの形の種類
● ラウンドブリリアントカット
ダイヤモンドの反射・屈折率などの光学的特性を数学的に最も美しく輝く型を理論的に計算した58面体カットのことです

● ローズカット
三角形を組み合わせたドーム状のカットで、ラウンドブリリアントカットより古い歴史を持ち、16世紀のヨーロッパで貴族たちが好んで付けていたと言われています

● オーバルカット
楕円形のカットで丸いラウンドブリリアントカットよりも研磨により失う部分が少ないため比較的大きなサイズでカットされます。また、楕円形ゆえに、他のファンシーカット(丸以外の形)よりも欠けに強い特性を持ちます

● ペアシェイプカット
西洋梨に似た形のカットで、女性の指を最も美しく見せるカットとも言われます

● マーキスカット
両端がとがった縦長のカットで、花びらや葉をモチーフにしたデザインに使われることが多く、ジュエリーのデザイン性を高めるカットとも言えます

● ハートシェイプカット
言葉の通りハートの形にカットされたものです。一口にハートと言っても、縦横比や深さのバランスで印象は様々。ぜひ、自分のお好みのハートを見つけてください!

● バケットカット
イタリア語の「bacchetta(棒・杖)」から名前を取った長方形のカットです。カット面はおおよそ20面で、縦のラインが際立つデザインです